FX(外国為替取引)で資金を増やす方法には「為替差益」と「スワップポイント」の2つがあります。
近年では歴史的な円安の流れに乗じて、高金利通貨を使ったスワップポイント運用が話題になっており、その中でも特に注目が集まっている通貨がメキシコペソです。

しかし、甘い話の裏には大きなリスクも潜んでいるもので、実際に長期スワップ運用を継続できているトレーダーは全体の1割以下とも言われています。
本記事では、そんなメキシコペソのスワップ運用におけるリスクと注意点を徹底解説し、安全な運用方法についてご紹介します。
スワップ運用とは?
スワップ運用とは、異なる2国間の金利差を利用して利益を得るFXの投資手法です。
例えば、金利の低い日本円(政策金利0.50%)を売って金利の高いメキシコペソ(政策金利9.00%)を保持しておく場合、その差額の約8.50%の金利を得ることができますが。(2025年5月時点の政策金利)
更にFXではレバレッジをかけることで最大25倍の資金を扱うことができるため、少ない資金から長期的な資産形成ができる方法としてスワップ運用に注目が集まっているのです。
具体的にどのくらいの金額が受け取ることができるのかはFX業者によって異なりますが、DMM FXであれば10,000ペソ(約2,974円分)あたり17円を受け取ることができるので、1日あたり0.5%の金利を受け取ることができる計算になります。
【PR】【DMM FX】について詳しくはこちらこれは年利になおすと182%となるので、メキシコペソを1年間保有するだけで資金が2.8倍になるということになります。
そのようなスワップ運用は、ポジションを持っているだけで継続して利益を得ることができるので、毎日のトレードから解放されることが大きなメリットとなります。
スワップ運用が「危ない」理由
ではスワップ運用は知識がなくても誰でも定期収入を得ることができるのかと言えば、もちろんそんなことはなく、甘い話には必ず裏があります。
ここからはスワップ運用におけるリスクについて一つずつ解説していきます。
流動性の低さによる急激な価格変動
メキシコペソなどの高金利通貨はもれなく新興国通貨でもあり、主要通貨に比べて価格が急激に変動する傾向があります。
メキシコペソ・南アフリカランド・トルコリラのような新興国通貨は市場で動いている通貨量が少ないため、ドル円などの基本通貨と比べると少ない額で値動きが起きてしまいます。
そのため、ひとたびパニック相場に陥ってしまうと値動きが止まらずに乱高下を起こしてしまいます。
例えば、2024年5月20日に最高値をつけたメキシコペソはわすが3週間で13%も下落し、その後の7月10日には9.093円の高値を付けましたが、8月5日には22%下落にあたる7.084円まで急落しています。
このように
このように大きな情勢の変化などで急激な変動が起きてしまうと、スワップポイントでの利益以上の為替差損を被る可能性が高く、スワップトレーダーが退場する原因のほとんどがこの為替変動になります。
政治・経済の不安定さによる暴落
メキシコは政治的・経済的に不安定な側面があり、特に隣国である対米国間での政治的影響を受けやすいです。
さらに、新興国通貨は戦争や感染症などの情勢不安が起きたときには資金の引き上げを行われる(売られる)ため、暴落を引き起こすことがあります。
過去にはコロナショックや初の女性大統領であるシェインバウム氏の就任などで国家的不安のにより大暴落を引き起こしました。
近年(2025年)ではトランプ大統領の発言により米国市場が大きく揺さぶられることも多く、そういった経済不安はメキシコ経済にも大きな影響を与えるため注意が必要です。
スワップ運用は買エントリーが前提となるため、長年積み上げてきたスワップポイントもこのような一度の暴落により消し飛んでしまうことになるのです。
失敗しやすい投資パターン
FXで負けたまま仕方なく退場するのは嫌ですよね。FXで退場しないためには最初が肝心なため、FX初心者の方は是非参考にしてください。
ハイレバ運用によるロスカット
レバレッジとは実際に持っている資金の何倍の資金量で取引を行うかのことで、国内業者では最大25倍までのレバレッジをかけることができます。
過度なレバレッジをかけると、為替変動によって証拠金維持率が下がり、強制ロスカットされてしまいます。
いわゆるフルレバ(25倍)と呼ばれる全力エントリーだと、わずか約0.15円の価格変動で強制ロスカットとされてしまうため新興国通貨の長期保有ではこれは厳禁です。
ストップロス狩り
FXでは「損切りラインの設定」が重要視されており、これはメキシコペソにおいても例外ではありません。
しかし、新興国通貨では流動性の少ない時期を狙って「ストップロス狩り」と呼ばれる仕掛け行為が存在します。
ストップロス狩りとは、意図的にストップロス(損切り)注文をトリガーさせ、他の投資家の損失を確定させることで利益を得る行為を指します。主に大口の投資家が、市場を操作して利益を得る目的で利用されることがあります。
主に大型連休や年末年始など、特に日本人が活動しづらい時間帯を狙われることが多く、過去には証券会社のメンテナンス時間を狙って行われたこともありました。
このようなストップロス狩りが行われた場合には瞬間的に0.3円ほどの値動きを起こしてしまうこともあり、狭い範囲でストップロスを設定していると強制的に損切決済が行われてしまうのです。
最終的には元のラインに戻ってくるのですが多くの個人投資家は仕掛けにより損切決済をされてしまっているのでこの上なく悔しい思いを余儀なくされます。
短期トレードとの混同
スワップ運用は中長期的な視点が必要なので、短期的な為替差益トレードと混同するとマイナスポジションを抱えてしまうことがあります。
メキシコペソは常時ボラリティの高い通貨なので、短期チャートを追ってしまうとチャンスポジションに見える箇所がいくつも見えてしまいます。
しかし、メキシコペソ円では基本的なテクニカル手法を裏切るチャートの動きは当たり前なのでスワップ運用を行うのであれば短期目線は捨てる覚悟が必要です。
どうしても毎日トレードを行いたいということであれば、メキシコペソでは大底からの積立スワップ運用、短期のスキャルピングはドル円で、などの棲み分けを行うといいでしょう。
下落トレンドでの長期保有
為替レートが下落しているにも関わらず、スワップポイントを得るためにポジションを保有し続けると、最終的に損失がスワップポイントで積み上げた利益を上回ることがあります。
そのためスワップ運用を行う際は下降トレンドから上昇トレンドへの転換期を見極めてエントリーを行う必要があります。
また、下降トレンドにいると判断した場合は長期的なトレンド終了を迎えることを待ち続けることが必要となり、数カ月から数年の忍耐力が求められることもあります。
リスクを抑えるコツ
レバレッジを1〜3倍に抑える
低レバレッジで運用することで、為替変動によるリスクを軽減できます。 複数通貨への分散投資:メキシコペソだけでなく、他の高金利通貨や安定した通貨にも分散投資することで、リスクを分散できます。
定期的な為替確認と損切り設定
新興国スワップトレードは「毎日のレイトチェックが必要ない」「ポジションを持っておくだけ」というイメージがついていますが、実はまったくそんなことはありません。
いつ起こるかわからない急激な価格変動や暴落に対して、政治情勢などの分析を行ってリスクとなりうる事象を頭に入れておくことが必要です。
そして、急激にレートが動いたときは必ず「なぜ、レート変動が起きたのか」を確認するようにしましょう。
メキシコペソで急激な変動が起きたときのほとんどは
1.米ドルに釣られての変動
2.閑散期でのパニック相場
3.メキシコ国内の問題
4.中東などの戦争リスク
の4パターンのいずれかに当てはまりますが、原因を素早く確認し、一過性のものなのかを判断し、中長期に及ぶ可能性があれば損切りを行う必要があります。
特にメキシコペソは下がり始めたらどこまでも下がっていく通貨で、長期的な暴落が起きたときは半年ほど様子を見ると大底からの余裕を持ったエントリーチャンスが訪れるでしょう。
スワップ運用に有利な業者選び
FX会社によってスワップポイントやスプレッドが異なるため、取引コストを抑えるためにも、条件の良い会社を選ぶことが重要です。
メキシコペソの今後の見通し
2025年5月現在、メキシコの政策金利は9.00%と高水準を維持していますが、現在はインフレペースも鈍化しており利下げフェイズに移行しています。
日本円はその反対の利上げフェイズに向かっているので、今後は円高ペソ安となると言われていますが、すでにこの流れも折り込み済みですでに下降トレンドは始まっています。
そのため、今現在がスワップ運用を始めるのに適しているかと言われるともう少し底を探れるのではないかと考えています。
しかし何かのきっかけで大暴落が起きた際は10年単位の大底を狙える位置まで下がっているので、今からエントリー準備を整えて最新の情報を収集していくことが重要です。
まとめ
メキシコペソのスワップ運用は、高金利によるスワップポイントの魅力がありますが、為替変動リスクや政治・経済の不安定さなど、注意すべきリスクも多く存在します。
リスクを理解し、適切なリスク管理を行うことで、安定したスワップ運用が可能となります。 無理のない範囲での投資を心がけ、長期的な視点で運用を行いましょう。