2025年5月20日、メキシコの首都メキシコシティで、市長クララ・ブルガダ氏の私設秘書と顧問のホセ・ムニョス氏が何者かにより銃撃され、命を落としました。
参考:ELPAIS
首都での衝撃的な事件が波紋
事件はメキシコシティ中心部の交通量の多い通りで起き、バイクに乗った2人組が突然車を襲撃しました。
車のフロントガラスには4発の銃弾の痕が確認され、秘書のヒメナ・グスマン氏と顧問のホセ・ムニョス氏はその場で死亡しました。
被害者の2人は、ブルガダ市長と長年の信頼関係にあった人物で、顧問ムニョス氏はイスタパラパ市政時代からの側近でした。
市長は事件後の記者会見で「彼らを失ったことに深い悲しみを感じている」と述べ、声を震わせながらも「真相解明と責任追及を確実に行う」と強調しました。
政治的背景と麻薬カルテルの影
メキシコではここ数年で政治家を狙った襲撃が続発しており、人権団体の報告では、2024年だけで政治関連の暴力事件は660件を超え、その多くが地方政治家やその関係者を標的にしたものだという。
かつて市長を務めた現大統領のシェインバウム氏は、「軍を含む全力の捜査を行う」と表明し、政府として事件の背景に迫る姿勢を見せました。
公安専門家のデビッド・サウセド氏は「今回の襲撃は、ブルガダ市長に対する明確なメッセージであり、カルテルによる犯行の可能性が高い」と分析。
特に、近年政府が進める麻薬組織への取り締まりに対する報復の一環との見方もあります。
パブロ・ヴァスケス氏がコメント
モレナ党の幹部であり、元国家警備隊司令官のパブロ・ヴァスケス氏は、事件直後に自身のX(旧Twitter)アカウントで次のようにコメントしました。
「これはただの殺人ではない。国家の心臓部に対する、明確な政治的メッセージだ。治安と民主主義への挑戦であり、断固とした対応が求められる。」
ヴァスケス氏は、連邦政府と州当局が連携し、迅速に実行犯と背後関係を特定すべきだと主張しています。
所感とメキシコペソへの影響
メキシコでは政治とカルテルの衝突が問題視されており、今回の事件は首都メキシコシティの安全神話を揺るがすものとなりました。
そういった政治的不安からペソ売りへの圧力が強まることも懸念されますが、ペソ円は一つの事件だけでは影響はでにくい性質もあります。
重要なのは今後、迅速な捜査発表がされることや、それに続くカルテルへの取締がどのように行われるかであり、そういった政治的対応がメキシコの治安と統治の方向性を大きく左右することになりそうです。